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「何か用事があるから銀ちゃんを探していたんじゃないの?」
「ふいに伝え忘れたことを思い出したのよ。さっき」
「伝え忘れたこと? 業務について?」
はっきりと聞く白羽に五月は頷いた。
「珍しく白夜様からの連絡なのよ」
「そのような大事なことを忘れるとはよほど暑さに負けていたのだな?」
酔っ払った信濃の言葉が割り込んでくる。五月はそれには反応せずに続けた。
「春日小雪の件よ。銀に預けるって話」
白羽が医学書を取り落とす。
「なにかの間違いだよね。小雪ちゃんは銀ちゃんを嫌ってるよ。日乃目の一件もある。今昔森の子供らだって納得しないと思うよ」
「私たちの仕事は子供を保護すること。保護師として任命されている以上、拒否権はないのよ。ただ、白羽が懸念する理由には私も賛成なの。日乃目の一件がある以上、小雪をこちらに引き寄せることは不可能。ましてや銀に小雪を説得させるなんてことができる筈もないもの」
「なら、なぜ、白夜様はそんな話をしたんだよ」
「何か裏がありそうだな。その話」
白羽と五月が振り替えると眼鏡の青年が汗を拭きながら話を聞いていた。紺色の着流しが特徴的だった。
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