あらすじ

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 ドイツ帰りの賢治は、昔、仲間と起こしたITベンチャーで部下だった香織と香織の子どもの美幸と三人で水族館に行き、寿司を食べる。  賢治は香織と結婚するつもりだった。自分がちゃんとした父親になれるか心配だった賢治は何度か回を重ね、美幸との距離を縮めようとしていた。  賢治がITベンチャーを起こした仲間のひとり、北村と香織の子どもが美幸だった。営業を担当していた北村は、起こした会社が軌道に乗ってすぐにクライアントを連れて出て行った。仲間に裏切られたと思った賢治は失意の中、日本を去りドイツへと向かった。  北村の自死を知った賢治は十年ぶりに帰国し、香織と再会した。  香織との再会で、賢治は過去を思い出す。  北村と起こしたベンチャーのこと、香織と夜中に忍び込んだ大学の学生寮で香織が弾いたピアノ曲。  それは、賢治が子どもの頃、父と母と隠れるようにして暮らしていた北海道の寒い吹雪の中、母が弾いた曲、ショパンのノクターンだった。  母や父の記憶もよみがえる。  子どもの頃、父に連れられて学生寮に遊びに行った。学生運動に身を投じた学生たちの輪の中心に父と母はいた。  父と同じ大学に入った賢治は母の本当の姿を知る。本名の母は、昭和史に残るような事件の登場人物のひとりだった。  家族を持つことを恐れていた賢治のこことが少しずつ変化していく。  やがて家族を持つことを決意した賢治は、香織が父の自死も北村の自死も見届けたことを知る。  賢治は香織と二人で母の墓を訪れる。  香織が、賢治の父親を美幸の発表会に呼んだことを告げた。
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