第1章

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あの日から僕はおうちのおトイレには入れなくなったんだ。 幼稚園も、レストランも、お習字の先生のお家のおトイレはちっとも平気だ。 おうちでは、どうしても嫌だった。 あんなのおかしいよ。 なんで、ママもパパもおばあちゃんもおじいちゃんも平気なの? もしかして、僕の目がおかしくなったのかな……。 僕はおしっこはお風呂場でするようになった。 うんちは、おばあちゃんの畑の隅でするんだ。 毎日、お休み以外は幼稚園まで我慢したりした。 僕があんまり恐がるから、ママやおばあちゃんが聞くから言ったよ。 「お水が怖いよ。」 でも、みんなわかってくれないんだ。 もうすぐ夏休み。 どうしよう。おトイレ、いけないよ! 僕はお腹が痛くなって、熱が出て、お医者に連れていかれた。 「便秘ですねー。」 ベンピってなんだろう。 「我慢しちゃダメだよ。恥ずかしがらないで、ちゃんとしないと。いいかい。約束だよ。」 先生がニコニコしながら言った。 コクコクと頷いて僕は先生と指切りした。 また少しして、僕はお医者に運ばれた。 「また我慢しちゃったかなぁ。恥ずかしいのかい?」 僕は首を横に振った。 「ん?どうしたの?」 先生とママが話してる。 「おうちのトイレが怖いのかい?」 僕は小さく頷いた。 「どうしてだい?なにが怖いんだい?先生に教えてくれないか?」 きっと僕しか見えてないんだ。 誰もわかってくれない。 ズボンを握りしめて、泣きそうになった。 「先生がこわくないように一緒に考えたいんだけど、だめかな?コッソリでもいいよ。」 僕は思いきって先生に耳を貸してくださいって言ったんだ。 きっと先生なら…… 僕はコッソリ先生に内緒話したんだ。 「僕のおうちのおトイレね。お水が変なんだ。」 「お水が?どうしたんだい?」 「お水がね、青いんだ!」
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