私の始まり(裏)

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小さい頃にみた人気アニメ 不思議で私が暮らしている世界よりずっとずっと美しくて憧れた 随分後にそのアニメが遊郭のアニメだと知ってすごく驚いたのを覚えている 今、私はその憧れを叶えている なのに何故だか怖い。 高校生時代の恋人たちは浮気が酷くて未だに覚えている。 くだらない人たち、くだらない世界。 ずっとそう思って居たのに何故だか今ではそんなくだらない世界に憧れている 懐かしくて心地よい世界。 でも、戻り方を忘れてしまった檻の中から出られない私は 誰かに引っ張りだして欲しかった けれど、自分の誇れるものを手放すのは怖い…… 「はじめまして…。」 そう声を掛けられハッとして顔を上げたら私と同い年くらいの青年が立っていた。 「い、いらっしゃいませ。」 その客は自毛の黒髪と中性的な愛らしい顔立ちとどこか親近感の沸く雰囲気だった 「飛田童貞です……。」 消え入りそうな声で彼はそう言った 「はい。お名前は?」 「さ、佐渡慶一郎です。」 「はい、佐渡様本日のメニューはこちらでよろしいでしょうか?」 何時も(マニュアル)通りに伝票を差し出した 「お願いします…。」 さっきよりはほんの少しだけはっきりとした口調だった 伝票を受け取った彼からなぜだか懐かしい香りがした。
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