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そして人や物の集まるところに商人あり。
その都市には支配階級と披支配階級とで間逆の評価を受ける黒髪の商人がいた。
その男は、
利益重視で金勘定はとんでもなくシビア、
仕事自体もまずは人づての紹介でないと引き受けてももらえない。
けれど一度受けた仕事は必ず遂行するという。
都市ではその男に任せれば手に入れられないものはない、
ともっぱらの評判であった。
その商人の名はアイディン。
齢二十六にして、
多くの富を得ている成功者である。
「この国一番の宝を用意せよ」
開口一番そう宣った、
自称王子様の付き人をアイディンは冷めた目で見やった。
「は?」
「ティメル殿下がこの国一番の宝をご所望である、
そう申しておるのだ」
「聞こえなかったわけではないので結構だ」
ジロリ、
と付き人の後ろにいる旧知の案内人兼仕事相手を一睨みする。
おい、
我関せずみたいな顔をするな。
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