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「そうか。
ぬしは年若いがここカレンデュラでなかなかの商人だそうじゃな。
このような栄誉ある仕事を託されたことを誇りに思うがよいぞ」
不健康に太った腹を抱え、
瞳だけは奇妙にくぼんだその男は明らかにアイディンを下に見ていた。
権力に弱い、
一介の若い商人だと。
これはその愚かな間違いを訂正してやらねばなるまい。
「成功した暁には、
王子殿下からお褒めの言葉を頂戴できるであろう。
望むのであれば、
王都で商売できるようにわしが口を利いてやってもよい。
それとも、
美しい女などの方がよいかの」
「そのお話、
お断りする」
「なっ、
王子殿下の命なるぞ。
貴様っ」
「なかなかの一商人でしかない私にはそのような大任は果たせるべくもありませぬ。
英雄と名高い王子様ご自身でお探し下さいませ」
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