1章

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 アイディンの口調こそ丁寧だがその無礼過ぎる発言を聞いて、 案内人のドゥーダは部屋の隅で青褪めるでもなくため息を漏らした。 これは予想通り、 といった反応か。 (連れてくる客は選べと言っているだろう)  まず、 こちらの都合を気にせずに要望だけ述べるこの感じがいただけない。 減点一。 自分を「なかなかの商人」呼ばわりしたのも気に入らない。 減点二。 王子様のお褒めの言葉など飯の足しにもなりはしない。 減点三。 恩を押し付けられるような口利きなど必要ない。 減点四。 己が女に不自由しているように見えたのか、 失礼だ。 減点五。 それでもいつものアイディンならもう少し話を聞いてやってもよかったが、 今回は依頼主が判明した時点で門前払い決定である。
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