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三歩下がったライトニング兄さんの稲妻しか見えない体に大きな穴が空き、流れる赤い血は電気に触れると蒸発した。
他から見れば、こはくが目を閉じて、開いただけ。
徐々に現状を理解し始めた観客が黙り始め、凄まじい速さで闘技場は静かになっていった。
「…………………………負け………………られない」
虫のような声が会場に流れた。
こはくはその瞬間に目を大きく開いた。
「……なんで」
「ああああああああああ!」
ライトニング兄さんの叫び声に呼応するように、体を覆う渦状の電気が竜巻のように広がった。
流石にチョコレートボードの床は無傷だが、大気の渦巻き方が異常で、こはくは久しぶりに恐怖を感じた。
そして、そのままこはくは思った。
ふざけるな。
「俺はこんなことをしてる場合じゃないんだ!」
ライトニング兄さんを中心に巻き起こる大気と電気の渦に圧倒されながらこはくは深呼吸をした。
「いいだろう。俺もとっておきを見せてやる。死神第二段階解放──────」
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