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『……ま、まさか……あれは……』
実況者の言葉でホログラムのディスプレイに目をやる観客達が見たのは、こはくを中心に動き回る赤い大気。
直径三十メートルほどの赤い大気の輪がこはくを中心に現れ、そこから六本の赤い大気の柱が生え、その先端に角が四本ある龍の顔が刻まれた。
『……あれは……まさか……レッドドラゴン! トリプルコストとレッドドラゴン! これは歴史上最高峰の戦いになる予感!』
再び会場のボルテージは最高潮まで高まった。
これはスタンディングオベーションに近い単純な歓喜の歓声。
しかし、大気は激しくうねり、明らかにそこは危険地帯だが、観客達はこれを望んでいた。
そしてこれを目当てでここまで来た観客ばかりのため、誰もそこから動こうとしない。
「………………俺には……やらなきゃ…………ならない…………ことが…………」
「うるせえ。俺もそれどころじゃねえんだって。だからさっさと死ね」
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