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ライトニング兄さんというライフネームの男性の紹介直後に観客のボルテージは一気に高まった。
何故人気なのかはこはくには分からないが、痺れるなという言葉が気がかりで仕方がなかった。
太古に開発された単位を使うと直径千メートルの円形闘技場の真ん中に五百メートルの間隔を空けて、二人はお互いの辛うじて見える姿を捉えた。
「こはく殿とか言ったよな」
広過ぎる闘技場にライトニング兄さんのしっかりとした男性の低く渋い声が大音量の放送で流され、こはくの耳に届いた。
「ああ。こはく殿だ」
「俺には負けられない理由がある。死にたくなければ抗うな」
こはくはまた溜め息を吐いた。
「うっせえ。俺は早く勝たなきゃならない理由がある。黙ってやられろ」
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