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「……エリスさんがやべえ」
一つ一つが微小で触ると滑らかそうな砂はこはくの形を作り、元のこはくの姿に戻った。
「抗うな。こはく殿。死ぬぞ」
抵抗なく立ち上がるこはくを見てライトニング兄さんは少し動揺し、その様子を見て観客は更に湧いている。
しかし、こはくは闘技場のことなどどうでもよかった。
それどころじゃなかった。
こはくは大きく空気を吸い込んだ。
「ハイツ! ノノ! エリスさんが攫われた! なんとかしろ!」
湧き上がる闘技場にこはくの叫び声が響いた。
変に静かになった観客席は困惑の色を見せながらも徐々に歓声が上がり直していく。
「さっさと終わらしてやる。『ライトニング兄さん』さんよぉ…………早く来い」
こはくは腰に下げた長ドスを抜いた。
綺麗に磨き抜かれた刃に光沢が映えている。
威圧感に近い雰囲気が周囲の大気を巻いた。
「舐めるな赤毛のガキ」
ライトニング兄さんはこはくに徐々に近づいていく。
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