第1章

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「ついに昨日学校のトイレで幽霊を見たぜ」 教室に入るなり、前の席の山本信義が話してきた。 バカで、お調子者で、先輩からも評判は良いらしい。 学校のトイレだったら僕も昨日行っているはずだ。 僕は何を馬鹿なことを、と思う反面、え、うそうそ、それでそれで、とワクワクしてしまう自分もいることも知っている。 「初めて見たんだよ、それでさ、焦ってついバッグに入れちゃってさ。大変だったんだぜ」 え、今なんて言った? 「何を入れたって?」 「いや、だから幽霊だよ」 「そのバッグに?」 「おう。入れるんじゃなかったよ」 そうですか、入れちゃいましたか。
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