三十 出動要請

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三十 出動要請

 グリーゼ歴 二八一五年、十一月十日。  オリオン渦状腕深淵部、グリーズ星系、主惑星グリーゼ、北半球北部。  グリーゼ国家連邦共和国、ノラッド、カンパニー、地下五階、研究ユニット。 「なんなの?やっと、ルペソ将軍を発見したんだよ!」  カンパニーの研究ユニットで、4D映像のJがこっちを見ている。  Lが4D映像に言う。 「4D映像が乱れやすいんだ。一ヶ所にいて欲しいんさ。  今日は、やっと、見つけた・・・。  ジェレミが永久幽閉の刑になったさ。恩赦は無しだ。  精神と意識を石板に幽閉されて、共和国議会議事堂前の広場に敷設され、国民に踏みつけられるべ。永久に・・・。石板が精神ヒッグス場の役目をしてるべ。石板が割れれば、その時、精神と意識は消滅するべさ・・・」 『この宇宙に、アーク・ルキエフのシンパ、ホイヘンスのネオロイドが存在する限り、あたしたちが宇宙へ侵攻する理由も存在する』  Jは、そう考えてるんだろう・・・。 「了解。こっちは、ルペソ将軍を発見したよ!  ルペソは、ここで武装勢力を指揮してるんだ。この惑星を掌握しようとしてる。  ルペソをここから排除するのに、兵器が足らないんだよ・・・」  銃弾が飛びかう音がしてモスクの壁が破壊し、瓦礫がJの頭上に降ってきた。遅れて銃声が響いた。 「狙撃してきた!急いで、兵器を送ってね!」 「どこだ。そこは?」 「ここは・・・星系の、惑星ナブール・・・」  二発目の銃弾の衝撃波とともに、Jが仰け反ったまま吹き飛んだ。  同時に、4D映像が乱れて消えた。 「ジェニファー!J!」  一瞬にLの顔から血の気が引いた。鼓動がいっきに高鳴った。  くそっ!撃たれたぞ!シールドしてなかったんか?4D映像が乱れるなんて、PePeも撃たれたんだ・・・。もしそうなら、シールドは効かねえベ・・・。何とかしなきゃなんねえ。どうする。おちつけ・・・。   なんてこった!ルペソのテクノロジーがあたしたちより上だってか?そんな事はあり得えねえべ・・・。 「PD!ジェニファーは生きてるんか!?」  Lは、研究ユニットの空間に現れた執事風のアバターに叫んだ。PDは、〈アクチノン〉のプロミドンのPDアクチノンの略称だ。ここノラッドのカンパニー自体が、巨大な攻撃用球体型宇宙戦艦〈アクチノン〉だ。 「だいじょうぶです。生きています。PePeがいっしょです。安心してください。しかし、状況は不明です」 「本当か?状況がわかんねえのに、安心してていいんか?」 「ほんとうです。PePeが居る限り安全です。PePeの位置は、5D座標に現れています」  ふぅ~と溜息が漏れた。Lの顔から笑みがこぼれている。  Jがスキップしても、PePeが居る限り安全か・・・。  こっちに居た時よりJは成長したな。と言う事は、他の時空間へスキップしたって事か?  さて・・・、 「PD。兵器を調達しなくちゃなんねえ。JとDとKはどこに居る?」 「DとKのPePeたちの位置も、5D座標に現れています。  Jの救援と、ルペソ将軍の排除に、トムソの特殊部隊を時空間スキップしましょう」 「そんな部隊、グリーゼに居ねえぞ」  LはPDの考えを読みとれない。 「ヘリオス星系惑星ガイアのニオブの部隊です」 「連絡できるんか?」 「私はガイアのプロミドン、PDガヴィオンにもシンクロしています。  素粒子信号時空間転移伝播通信は可能です。  PDガヴィオンに、トムソの部隊の出動を要請しましょう。  ニオブによる、私マスタープロミドンの正式名は、PDアクチノンです」 「わかったさ。今は、説明なんかいいべさ。早いとこ連絡しとくれ」 「了解です」  PDアクチノンはヘリオス星系惑星ガイアの時空間へ、トムソの特殊部隊出動要請を素粒子信号時空間転移伝播させた。 (Ⅶ Space wide① ニューロイドJと電脳宇宙意識PD 了)
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