0.悪夢の終わり

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まぁ、そんな俺自身についてはいいとして…水槽下に沈んでいる“男だったモノ”は、すでに至る所から骨が見えているほど肉体の組織(と言えばいいのか?)は剥がれ落ちてきている。 腹の肉が剥がれると、気泡と共に完全に黒く変色した内蔵が出てくる。 正直、何度見ても気持ち悪い。 体の至る所からは、濁った液体が上に向かって立ち上っている状態だ。 水中には髪の毛も散乱している。 この間から髪は抜け続けていた。 すでに1本も残ってないんじゃないか? こんな状態になっていると、もう近くでまじまじとは見れたもんじゃない。 普通の精神をしていたら、無理に決まってる。 …死体に知識のない俺でもわかることはいくつかある。 おそらくは、この夏場であっても海や川で死んでいたとして、ここまで腐敗は進んでいないはずだということ。 汚染された水が流れずに、同じ状態のまま放置されているんだ。 中にいる、腐敗しはじめた遺体は、汚染された水の中ならばあっという間に腐敗も進むだろう。
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