0.悪夢の終わり

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箱買いしたミカンのひとつにカビが生えたら、その周辺のミカンの腐敗も進んでいく。 多分、そんな原理と同じなんだと思う。 だから、目に見えて死体の腐敗が進んだあたりから、こんな酷い有様になるまでは早かった気がする。 “イスミ”という男の目的は未だに分からないままだ。 無知な俺に観察をさせて、本当に意味があったのか。 こんな有様になってしまった水槽を、一体どう処理しようというのか。 俺としては、もうこれ以上観察することなどない気がする。 あとは、まだ残っているぶよぶよの肉(っぽいモノ)が、すべてトロトロと溶け浮遊して、骨になるのを待つだけだろう。 そろそろ、報酬をもらって帰ってもいいんじゃないか? 正直この苦行には、いくら膨大な報酬といえど見合っていない気がするけど、そんなことはもうどうだっていい。 一刻も早くここから出て、家に帰ってシャワーを浴びて、日常を取り戻したい。 今日の観察はこれで終了とする。
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