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箱買いしたミカンのひとつにカビが生えたら、その周辺のミカンの腐敗も進んでいく。
多分、そんな原理と同じなんだと思う。
だから、目に見えて死体の腐敗が進んだあたりから、こんな酷い有様になるまでは早かった気がする。
“イスミ”という男の目的は未だに分からないままだ。
無知な俺に観察をさせて、本当に意味があったのか。
こんな有様になってしまった水槽を、一体どう処理しようというのか。
俺としては、もうこれ以上観察することなどない気がする。
あとは、まだ残っているぶよぶよの肉(っぽいモノ)が、すべてトロトロと溶け浮遊して、骨になるのを待つだけだろう。
そろそろ、報酬をもらって帰ってもいいんじゃないか?
正直この苦行には、いくら膨大な報酬といえど見合っていない気がするけど、そんなことはもうどうだっていい。
一刻も早くここから出て、家に帰ってシャワーを浴びて、日常を取り戻したい。
今日の観察はこれで終了とする。
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