第1章

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俺たちは急な言葉に理解ができてなかった。 「お父さんの仕事、何か知ってる?」 「工事現場の現場監督ですよね?」 「そう!お父さんはあの日、山に新しく建てる家の工事をしていたんだ。その工事中にお父さんは行方不明になった可能性が高いんだ。それにただの行方不明じゃない気がするんだ。これは刑事の感だけどね。」 「でもなんでそれが今になって…。」 妹が少し暗くなった。 「それが、不思議なことに工事現場の従業員がみんな、口を揃えてこう言うんだ。『次の日まで意識がなかった』って。」 「なにそれ!従業員みんながグルになってお父さん殺したみたいじゃない!」 妹はお父さんが大好きだった。 だから、もし、犯人が捕まったら妹は殺すかもしれない。 「僕もそれは疑ったんだけど、本当に覚えてないらしい。あと、僕の先輩刑事も引退してからも捜査を続けていてある事がわかったらしいんだ。」 「先輩刑事って、権蔵さんですか?」 「あぁ。今からそこに行こう。」 車に乗せられ、山奥の方に向かった。 権蔵さんは、恭平の先輩で、ずっと親父の単独捜査を行っていた人だ。 いかにも長年刑事をやってきた顔をしている。 「久しぶりだね、」 僕達は黙って礼をした。 「君達には本当に申し訳ないと思っている」 「いえ、それでわかったことは?」 話が進む。 「お父さんが居なくなった次の日、家の工事を撤収してるんだ。それにそんな工事があったことはみんな覚えてないらしいんだ。あと、お父さんのことも彼らは知らない。」 「どういうことですか?」 僕は理解に苦しくつい聞いた。 「彼らの中で記憶が消されていて、お父さんのことも、現場のことも忘れている。もちろん、家を希望した人も覚えてはいない。」 俺らは聞くことしか出来なかった。意味がわからない。 「信じられないだろう?だから、君たちを呼んだんだ。」 「え?」 今日は理解に苦しむことが多い。 「今日はもう暗くなるから、来週、そこに行ってみないか?」 「それで何かわかるのなら私は行きます。」 「俺も。」 妹が行くのに兄が行かないわけにはいかない。 それに俺達には真実を知る必要がある!
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