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二日前、男が乗った飛行機が、砂漠の中へ墜落した。
男は新婚旅行へ向かう途中だった。
隣の席には結婚したばかりの妻、美咲が座っていた。
粉々になった機内で、男は奇跡的にたいした怪我もなく無事だった。
他に生存者の姿は見えず、周りには死体や肉片が転がっていた。
男が機内から外へ出ようとしたとき、声が聞こえた。
「助けて……」
美咲の声だった。
血まみれになった美咲が、機体の間に身体を挟まれていた。
男は助け出そうとしたが、美咲の身体に覆いかぶさる鉄の塊はびくともしない。
美咲の声が、だんだんと小さくなっていく。
そのとき、男は握っていた美咲の手を離した。
まだ生きている美咲を置き去りにして、一人で飛行機の残骸を後にしたのだ。
自分だけが生き残るために……
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