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毛の塊を雑巾で掴むと堅い感触がして赤いものが見えた。
え。
とっさに掴んだ手を離した。
黒い毛の隙間から紅い艶のあるものが見える。
自分の指に残った感触が気持ち悪くて爪を指の腹に立てた。痛みで感触を忘れたい。
もう一度、手に触れないように雑巾を使い髪の毛を引っ張った。
グッと力をいれるとズルリと束が蓋についてきた。
「───────ッ。」
声にならない悲鳴が口のなかで留まる。
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