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「あなたはご主人と愛を誓ったのでしょう。
これ以上こんなこと止めて下さい。」
結婚指輪を指さして彼女を非難した。
彼女は翌日から無断欠勤をするようになり、俺の行く先々に現れた。
まさか毎日家に侵入されていたとは知らなかった。ロッカーの盗難事件が脳裏に浮かぶ。あの時に自宅の鍵をコピーされたのだろう。
そして理穂が俺の浮気を疑い、髪の毛の存在を言えずにいたなんて思ってもいなかった。
「ご主人、こちらへ来ていただけますか。」
刑事に浴室へ促された。
鑑識の人から濡れて文字の滲んだメモを見せられる。
『薬指はあなたにプレゼント』
刑事が声を潜め理穂に聞こえないように気遣いながら質問する。
「このメモの意味が分かりますか?
これが指に巻かれ、その上から髪の毛が巻いてありました。」
警官たちの向こうにチラリと指が見え吐き気をもよおす。
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