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そこのコンビニに寄っていたという彼女から押し付けられるようにして手渡されたのは、何故か温かいココアの缶で。
つい昨日の出来事思い出した私は思わず吹き出しそうになってしまった。
「なんでココア?」
「朝の頭は糖分が必要なのよ。それになんかほっとするでしょ」
そのままスタスタと歩き続ける遥香に並んで首を傾げると、素っ気ないトーンで言葉が返ってくる。
でも本当はちゃんと優しいことを知ってるから、そんな彼女にも自然と頬が緩んでしまった。
手のひらの中では温かな缶が、秋の気配をまとう朝の空気にわずかに冷えた指先へと熱を伝える。
確かにそれは、私のささくれだった心を少しだけ軽くしたような気がした。
うう、持つべきものは親友や……。
「で、明希。あのあと色々あったってどういうこと? まさかとは思うけど、あんた変な男についてったりしてないでしょうね?」
「ぶっ、ごほっ!」
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