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しかしながら遠慮のないストレートな質問には少々むせる。
そのクセして半分冗談のつもりだったのか、遥香がぽかんと口を開けたま私を見ていて。
「なによ、あんたまさかホントに!?」
「ち、違う違う! そんなんはほんまなんもないから!!」
朝っぱらからこんな往来で大声を出す羽目になってしまった。
言葉の違いのせいなのか、少しばかり視線を集めてしまった私はなんでもないように歩を進めつつ、ちらりと隣を盗み見る。
するとそこにあった早く話せともの言う遥香の目に頬が引きつり、乾いた笑いがこぼれた。
「……えっと、ホント、大したことはないんやで……?」
「大したことあるわ!」
ええツッコミで。
会社についた私たち。
普段なら使わない階段を二人で上りながら例の出来事を話し終えると、案の定遥香が眉間に深い深いシワを刻んだ。
「何が大丈夫よ! 全然帰れてないじゃない!」
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