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「へっ!?」
あまりに突然でストレートな質問に思わずたじろぎ不覚にも頬が熱くなる。
けれど、身を案じてくれているというのがよくわかるその声に嫌な気はしなかった。
そう言えばあの時家村さんも結構な勢いで責められていたように思う。今も電話の向こうには無理やり奪い取られたような気配が漂っている。
もしかしたら私のことを心配してかけてきてくれたのかもしれない。
ならあの人のためにも妙な誤解はとかなければと唾を飲み込んだ私は、手にしたスマホを握り締め慌てて口を開いた。
「や、あの違うんです、響さんは」
『やーだあなた響にさんとか! え、なに、もしかしてあなたこの子の彼女さん?』
「……へっ!? やっ、そうい」
『いややわ、それならそうと早く言いやこのバカ息子っ』
『いって! なにすんねんあほっ』
……うわけじゃないのに。
もう私の言葉なんて聞こえていないのか、すっかりそうだと思い込んでしまったらしい彼のお母上は、その側にいるであろう本人をしばいている(っぽい)。
これぞ大阪のおかんな匂いのするその人に若干圧倒される。
が、そのまま認めるわけにはいかなかった。
「あのっ! 違いますっ!」
『わかっとるわい。……すまん』
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