第1章

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この二人が庭を作るために井戸を潰すと言う話を、業者に話しているところを、大工の棟梁が聞いていた。 そして、「お前さん達、この井戸がどういうものか知っていなさるのかい。悪いことは言わない。この井戸を潰すのはよした方がいい。あんたたちがこの井戸に呼ばれたのなら、この井戸を大切にしなくちゃいかん。粗末に扱えば罰が当たる。止めとけ。」と年配の棟梁が言う。 その話を聞いた卓也は、「そんなたかが古井戸なのに、危ないから埋め立てた方がいいんですよ。もしもうちの子が怪我でもしたら、大変じゃないですか。」と 笑って答える。 妻の芽衣子も同じように笑っている。 そんな迷信、現代に通用しませんよ。 二人とも信じられないのだ。 二人は、年配の棟梁の話を聞き入れず。 井戸の処理を業者に任せたまま放置していた。 任された業者は、家を解体する時に出る廃材を、井戸の中にいれて埋め立ててしまった。 神主を呼んでお祓いなどもせずに済ましてしまったのだ。
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