終わりを決めるのは僕じゃない

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「駐輪場はあっちよ」 「夏美」 「どう?制服似合ってるでしょ?」  紺色のジャケットに、水色のリボン。紺色と水色のチェックのスカートに、肩まで切られた茶色の髪の毛。 「無事三人とも合格したな」 「学の教え方分かりやすかったから、そのおかげね」 「そんなことないよ。みんな頑張ったから」  三人は顔を見て、笑い合った。それは悲しみを乗り越え、分け合ってきた三人だけが分かる笑顔だった。 「早くクラス発表見に来こう。ほら、自転車置いてきて」 「分かったよ」  二人は自転車を駐輪場へ置くと、夏美と一緒にクラス発表の紙を見た。それぞれ名前を探す中、学があっと声を上げた。 「クラス、三人とも同じだよ。ほら、ここ」  学は自分の名前を指差した後、二人の名前を指差した。それを見て夏美が笑う。 「楽しい高校生活に、なりそうね」 「だな」  学はそこに書かれた自分の名前を、じっと見つめた。去年の今頃はもう終わりは決まっていて、高校になんて来る予定ではなかった。それが今は雄大と夏美と、同じ高校にいる。  人生って不思議だな。何が起こるのか、それこそ一年後どうなっているのかさえ分からない。だからこそ面白いのかもしれない。運命はいくらでも変えられる。終わりを決めるのは、僕じゃない。
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