終わりを決めるのは僕じゃない

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 来る時はすべてを諦めていた。未来も夢も、今さえも。それがたった数日でこんなに変わるなんて。夏美さんのお婆さんが言っていた。運命は変えられると。変えられるのは自分だけだと。  流れていく家や田んぼの景色たち。誰もいない電車の中。学の心は決まっていた。生きよう。生きることが楽しいことを、この夏思い出した。死ぬことが誰かにとって、とても辛いことだとこの夏知った。 「僕が死んだら、泣く人がいる」  そんな当たり前のようなことに、今更気が付いた。終わりは、運命は決まっていると思っていたけど、そうじゃなかった。  雄大の一言で、運命は変わった。夏美との出逢い、夏美の祖母の死、大切なことをたくさん学んだ。自分で未来を変えることが出来たんだ。  そよの優しい笑顔を思い出し、学は潤んだ瞳を閉じた。
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