終わりを決めるのは僕じゃない

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 それから残りの夏休み、雄大と夏美と集まっては、勉強をしたり遊んだりした。楽しそうに二人のことを話す学のことを、両親はとても喜んだ。あっという間に新学期が始まり日常が戻ってきたが、もう平気だった。  薬は相変わらず飲んでいるけれど、医者からは減らしていこうと言われた。秋が来て冬が来た。今年の冬は雪が多かったため、雄大の祖父の家に行くことは、出来なかった。  三人で初詣に行くと、高校合格を願った。そして春。学は南高校の制服に袖を通す。紺色のジャケットに、水色のネクタイ。伸びた髪の毛は、短めに切った。  家を出れば待っていたように、雄大が外に立っていた。 「おはよう」 「おはよう」  二人は自転車に乗ると、ペダルを踏んだ。春の匂いが風に乗って、鼻に気持ちよく届く。新しい生活の始まる匂い。その気持ち良さに、学は深呼吸をした。  坂道を一気に下ると、南高校に着いた。駐輪場を探していると、声をかけられる。
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