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中学最後の夏、一人無の中にいた。周りの人達が夏休みだとはしゃぐのを、他人事のように見ていたのを覚えている。あの時の自分は、何の感情も持ち合わせていなかった様に思う。
休みに入る嬉しさも楽しみも、課題の面倒くささや受験への焦りや不安。そして将来への、未来への希望も何も持っていなかった。
なぜならすでにその時、未来は決まっていたからだ。だから未来に期待も希望も持たず、ただ時間が一秒ずつ過ぎていくのを待っていた。唯一の望みと言えば早く時が経つことだけ。
でもあの日、夏休みに入る最後の登校日の帰り道。久しぶりに懐かしい声に呼び止められ、決まっていたはずの運命が変わった。
運命は変わらないものだと思っていたのに、ある人は言う。運命は変えられると、変えることが出来るのは自分だけなんだと。
分かったのは人生は簡単に変わるものだということだけだ。たった些細な一言から、たった一つの一歩から人生は大きく変わることを知った。
あの時、声をかけられて良かった。
あの時、彼を無視しなくて良かった。
すべては彼の一言から始まったのだから。
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