始まり

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「ばいばーい」  それを見て男は、男の子の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。 「良い奴だな」 「へへ」  嬉しそうに照れる男の子を見て、僕もともう一人の子も続いて蝉を手から空へと放した。 「気を付けて、遊べな」  大きく手を振りながら、満面の笑みを浮かべる男。学はこの男をよく知っていた。 「ん? 学? 学じゃねーか。久しぶりだな」  懐かしい声。昔と変わらない笑顔で学の名前を呼ぶのは、幼馴染みの雄大(ゆうだい)だ。 「本当に久しぶりだな。元気にしてたか?やっぱり学校が違うと、隣同士でもなかなか会わないもんだな」 「そうだね」 「なんか元気ねぇなー。なんか痩せてね? 背も縮んだ気がするし」 「それは雄大が伸びたんだよ」
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