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清田はその日、少し酔っていた。
「あっ、こっちじゃねぇや」
昨日までの家に帰りそうになる。
新しい家の鍵をポケットから取り出しながら、階段を昇る。
フラフラになりながらも、錆びた手すりは握らない。
アパートと呼ぶのも憚るほどの古い建物。
その二階の一室が、清田の新しい住処になった。
ボヤけた目を擦りながら、揺れた右手で鍵穴に必死に差し込む。
ノブを回して扉を開くと、
ギィーッ
蝶番の鈍い音が、静まったアパートに響き渡る。
「いくら安いからって」
引っ越す決め手になったのは破格の安さ。
「ボロボロすぎるよな」
苦笑いしながら部屋の中へ。
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