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しばらく待ってみたが、早苗と仲が良かった頃の思い出もあるだろうに、そのことには触れることもない。
姫良は月命日の墓参りを欠かさない。
心底で絶えず母親を求めていることを、いま姫良が云ったことで、もしくは云わなかったことで知った。
早苗をママと呼ぶほど慕ったにもかかわらず――
もしかしたら本当に母親として安心しきっていたのかもしれず、
それなのに。
そして、抱きしめてくれなくなった父親。
姫良がどれだけ傷ついたのか。
それはあの日あの公園にいた姫良を見て嫌というほど知っている。
一成が紘斗に打ち明けたことも、姫良にとっての救いにはならないかもしれない。
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