日本 東京・原宿 1970年

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狼歩さんを見たら、彼はゆっくりと頷いた。 そうなの!この人は私の母なんだわ。 でもなんなの?若すぎる。皺もシミも全然ないじゃない。髪だって真っ黒だし。 ふーん。私の母親にもこんな時代があったのね。当たり前なんだけど。 「真一さんは?」 狼歩さんが優香さんに問いかけるのを聞いて、私は腰が抜けそうなくらい驚いた。 だって、だって。それは父の名前だったからなのよ! 「どうしたのかな。いっつもあの人、遅れるのよね」 優香さんは背伸びをして遠くを見た。でも待ち人は来ていないみたい。 「ねえ、これってどういうこと?」 私は狼歩さんの袖を引っ張って小声で尋ねた。状況説明をしておいて欲しい。
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