日本 東京・原宿 1970年

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「もっと優しくしてくれないと、私もあなたに優しくしてあげないよって」 んん?何それ。脅かしているの? 「そしたら?」 「優しくするなんて、どうしたらいいかわからないって。 だから言ったのよ。じゃあ自分がどうされたらうれしいか考えて、努力してって」 わかるけど。ちょっと言い過ぎじゃない? ああ、パパだったらなんて言うかな。あんたに優しくしてやる必要はないって突っぱねるかな。 「そしたら真一さんはね。優香さんは僕に優しいよ。これ以上優しくしてくれなくてもいいよって答えたのよ」 優香さんは笑いながら言って、後ろを付いてくる真一さんと狼歩さんを振り返った。 「真一さんは男兄弟しかいないからね。 私は女の子はそれじゃダメなのって言ったら、そういうものなのか、って言ってた」
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