沖縄県 本部町 水族館

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「見て。この尾びれ、車のタイヤのゴムでできているんですって」 はしゃぎながら報告する私に、狼歩さんは知っていても「知ってる」とは言わない。ただ黙って笑っていてくれた。 それは当たり前のことだけれど、「知ってる」と言われたら拒絶されたような気分になるもの。 狼歩さんのそういう受け答えって、相手に対する優しさなのかな。 「ねえ、あれはフジの子ども?」 「どうかな、違うんじゃないですかね?」 狼歩さんは円形の窓を覗きながら答えた。 パパの「知らん」とは大違い。 パパと狼歩さんはどうして違うのかな?親の問題なのかな。それとも相性? 「ふうかさん、ちょっと見せたいものがあります」 ひとしきり展示物を見たら、狼歩さんは私の手を取って外に出た。 海風が気持ちいい。風は、私のワンピースの袖を通り抜けた。
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