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「ふうかさん、とっても綺麗です」
さっき狼歩さんと名乗った男の人が、にっこりと笑いながら褒めてくれた。
男の人に褒められるのって、もしかしたら初めてかも。
パパは絶対にこんなこと言ってくれない。
「ええと。狼歩さん、でしたっけ」
「はい」
「これは夢なの?」
「さあ?夢だと認めたら覚めてしまうかもしれませんよ」
狼歩さんは意地悪く言った。
それはダメ!せっかく私はこんなに若くきれいになっているんですもの!夢でもなんでもいいわ。このままでいたい、と私は思った。
私は鏡の前でくるっと回ってみた。スリットから、私の若い太ももがちらりと見えた。恥かしい。でもこのドレス、下品じゃないのよ。
「では、行きましょうか」
狼歩さんは左腕を私の方に出した。
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