ふうか、夢のデート

アメリカ フロリダ

木でできたかわいらしいトロッコに、私たちは乗り込んだ。

さすがアメリカ、座席にゆとりがある。狼歩さんと並んで座っても十分余裕はあるわ。

これじゃあ「きゃあ怖い」と言って腕にすがりつくには、ちょっと距離があるかな。

「いいですか？　走り出す前にハイホーと大きな声で叫んでください」

狼歩さんが教えてくれる。

ああ、あれ？　白雪姫の七人の小人たちの掛け声よね。

それほど激しい乗り物でなくても、キャストは全員の安全ベルトをしっかり確認する。

「え？　え？　どのタイミング？」

私は焦った。

「大丈夫」

狼歩さんは親指を立てて笑った。安全ベルトが心なしかギュッとしまった。

どうしよう。私だけ変なタイミングで「ハイホー」って言うのも恥ずかしいし、他の人に合わせそこなったらつまらない。