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こうして狼歩さんと夢の世界を歩いていて、私は少し心が軽く、でも強くなってきたような気がする。それは気のせいかな。
「では。次はロサンゼルスに」
狼歩さんが私に笑いかけながら言うのを、私は遮った。
「ねえ狼歩さん」
「はい?」
「私、うちに帰りたい」
本当は違うの。いつまでもこうして狼歩さんと楽しく色んなところを見て回りたい。
でもね。ダメなの。私は私を救うために一歩踏み出さなければならない。現実に帰らなくちゃいけないの。
ここは夢だとわかっている。私は起きなければ。
狼歩さんは私を正面から見つめた。
その眼には不安そうな私が映っていた。あら、私。若い女性じゃなくなっている。
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