ふうかの家

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ふうかの家

はっと私は自分のベッドで目を覚ました。 あら? 私はどこにいるの? 家? 今何時かしら。娘のお弁当を作らなくちゃ。 私は起き上がり、額に手を当てた。なんだかくらくらする。 「ママ?」 娘が心細そうな声で私を呼んだ。一緒のベッドで寝ていたのね。あら?合宿に行っていたんじゃなかったっけ? まだはっきりしない頭で、私は娘を見た。 すると突然娘が抱きついてきて「ママ、ママ」と泣きじゃくった。 どうしたの? 何があったの? 「良かった、良かった」 「どうしたの?」 娘は泣くばかりで、強い力で私を離さない。 「だって、だって、ママ、ずっと起きないんだもの」 えっ? どういうこと? 私は娘の顔を両手で挟むと、その目を覗き込んだ。
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