ふうかの家

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「どうして?」 狼歩さんは私の前にひざまずき、私を見上げた。 あっ。ダメかも。そんな上目づかいで私を見ないで。 「だって、だって。私たちさっき会ったばかりでしょ」 ふふっ。と狼歩さんは笑った。 よく笑う人だわ。でも不愉快にはならないのは不思議。 「何を言っているんですか。僕たち、恋人同士でしょう?」 えっ。私が驚いているうちに狼歩さんは優しく私の片足を持ち上げると、靴の中へと入れストラップを留めてくれた。 「ふうかさんは小さな足だなあ」 ちょっと恥ずかしかった。そりゃあ男の人の足に比べれば小さいわよね。 「この小さな足で今まで一生懸命歩いてきたんですね」 私はちょっと泣きそうになった。だってこんなことを言われたのは初めてなんですもの。
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