ふうかの家

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遠くで水音がした。私はまた眠っていたみたい。 パパ? 私は、抱き付いている娘の腕を引きはがし、階下に降りようとした。 足元はふらつきベッドから足を下ろしたけれどふわふわとしていて心もとない。私は時間をかけて立ち上がった。 まっすぐに歩くのには自信がなくて、壁を伝いながら歩いた。 「パパ?」 声が掠れていたけれど、二階からパパに声をかける。 ダイニングでガチャガチャお皿をぶつける音がした。自分で朝食の用意をしているのかしら。 私は、ゆっくりと手摺を掴みながら階段を下りた。テーブルではパパがトーストとコーヒーを口にしていた。 「パパ」 パパはゆっくりとこっちを見た。別に驚いたような様子もなく、コーヒーカップを手にしている。 私はなんと言ったらいいのか、言葉が見つからない。
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