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狼歩さんだった。
えっ? ちょっと待って。なぜあなたがここにいるの? あなたは夢の中の人でしょう?
狼歩さんは上下黒のラフな服で、こんにちは、というように手を上げた。
「え、え、え。なんで、なんで?」
私はうまくしゃべれなかった。
「こんにちは」
ああ、私をとろかせる笑顔。どうしよう。
「どうしました? なんかふうかさん、怒っているみたい」
「そ、そりゃ、そう、ひっく」
私はしゃっくりをした。あららら。しゃっくりなんて何十年ぶり? それだけ驚いたってことよね。
「ひっく」
「あはは。落ち着いて。はい、息を大きく吸って、吸って、吸って」
狼歩さんは私の背中を優しくさすりながら、指示した。ちょっと、そんなに吸ってばかりいたら!
「はいっ! 止めてっ!」
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