ふうかの家

19/37
前へ
/205ページ
次へ
狼歩さんだった。 えっ? ちょっと待って。なぜあなたがここにいるの? あなたは夢の中の人でしょう? 狼歩さんは上下黒のラフな服で、こんにちは、というように手を上げた。 「え、え、え。なんで、なんで?」 私はうまくしゃべれなかった。 「こんにちは」 ああ、私をとろかせる笑顔。どうしよう。 「どうしました? なんかふうかさん、怒っているみたい」 「そ、そりゃ、そう、ひっく」 私はしゃっくりをした。あららら。しゃっくりなんて何十年ぶり? それだけ驚いたってことよね。 「ひっく」 「あはは。落ち着いて。はい、息を大きく吸って、吸って、吸って」 狼歩さんは私の背中を優しくさすりながら、指示した。ちょっと、そんなに吸ってばかりいたら! 「はいっ! 止めてっ!」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加