ふうかの家

20/37
前へ
/205ページ
次へ
うくっ。私は言われるまま息を止めた。胸の中には空気がいっぱい入っている。 「まだまだまだまだ」 私はついに息が続かなくなって、大きく吐き出した。 「もうっ」 「止まったでしょ?」 狼歩さんは笑った。あら。言われた通り、止まったみたい。 「あ、ありがとう」 じゃなくて! どうしてあなたがここにいるんですか! って聞きたいのよ。 「ふうかさん、座って」 もう、私の家なんですけど。でも、この人の言うことは素直に聞いちゃうのよね。私はソファに座った。 狼歩さんは、コーヒーサーバーからコーヒーを優雅にカップに注ぐと、私の元へと持って来てくれた。 あら? こんなカップ、うちにあったかしら。これは、もしかして、マイセン? 私の欲しかったカップだわ。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加