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「え、でも」
「いいですか、ふうかさん。これからのデートは、ふうかさんと僕のふたりっきりです。
それにね。ご主人は今頃、自分の部屋でゲームに夢中になっていると思いますよ」
そうかしら。パパが夜中に起きてきて、私がいないのに気づいたらどうしよう。
「ふうかさん。心配しないでください。これは夢のようなデートなんですから」
あ、そうだったわ。これは夢なんだわ。でも、夢だと私が認めたら目が覚めてしまう。それはイヤ。
「じゃあパパのことは心配しないでいいのね?」
「もちろんです。なにもかもうまくいきます」
狼歩さんは背筋を伸ばし、私のためにドアを開けてくれた。
「さ、どうぞ。ふうかさん」
「ありがとう」
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