ふうかの家

16/21
前へ
/205ページ
次へ
「え、でも」 「いいですか、ふうかさん。これからのデートは、ふうかさんと僕のふたりっきりです。 それにね。ご主人は今頃、自分の部屋でゲームに夢中になっていると思いますよ」 そうかしら。パパが夜中に起きてきて、私がいないのに気づいたらどうしよう。 「ふうかさん。心配しないでください。これは夢のようなデートなんですから」 あ、そうだったわ。これは夢なんだわ。でも、夢だと私が認めたら目が覚めてしまう。それはイヤ。 「じゃあパパのことは心配しないでいいのね?」 「もちろんです。なにもかもうまくいきます」 狼歩さんは背筋を伸ばし、私のためにドアを開けてくれた。 「さ、どうぞ。ふうかさん」 「ありがとう」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加