ふうかの家

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この人は、人の家には平気で入って来られるし、世界中のどこへでも私を連れて行ってくれるし、私の望むことを次から次へと叶えてくれる。 でも、得体の知れない人。 「僕の名前は鷹視狼歩(ようし・ろうほ)と言います」 「鷹視狼歩さん」 「はい。鷹のように鋭い眼を持ち、狼のように獲物を探す歩き方をする、誰に対しても欲深で残忍な、そして隙を見せない人物という意味です」 「その名前、だれが付けたの?」 私は、あまりいい意味じゃないみたい、という言葉を飲み込んだ。 「そうですね。気が付いた時からこの名前でした」 あまり鋭い眼つきとは思わないけれど。どういう事情があるのかしら。 「では、本題に入りましょう」 「ほ、本題?」
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