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狼歩さんは、ダイニングテーブルの椅子に座り、自分のために淹れたコーヒーを一口飲むと、テーブルの上にあるソーサーにカップを乗せた。
「僕はね。ふうかさんの望みを叶えるためにやって来ました」
「の、望み?」
「そう。あたなの望みは夢のようなデートだったでしょ?」
「そうね」
さっき狼歩さんはフルネームを名乗ったけれど、それは狼歩さんの正体を明かしたことにはならないわ。
「ふうかさん。あなたは毎日苦しんでいた。悲しんでいた。自分は価値のない人間だと思っていた。消えてしまいたいと思っていた」
狼歩さんは容赦なくちょっと前の私の気持ちを言葉にしていく。
「それは、それは、今、解決しようと思っているんだから」
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