ふうか、夢のデート

ふうかの家

わ、私を？　私が欲しいですって？

どういうこと？　私の心が欲しいということ？　それとも？

私はこんなにも強く誰かに望まれたことがなかったから、それはとても甘美な誘いだった。

「大丈夫。何も心配なことはありません。僕と一緒に来てくれますね？」

でもでも。私はこの人の何も知らない。

「どこへ行こうというの？」

「僕の暮らす、悲しみも苦しみもない世界です」

素敵。そこへ行ったら泣くこともないの？　辛くて心が張り裂けそうになることもないのね。人を憎むこともないのかしら。

「狼歩さんはずっと私と一緒にいてくれる？」

「もちろんですよ」

私は狼歩さんの魔法にかかっている。

パパも院長もいないところへ行きたい。この人が誰でも構わない。思わず頷きそうになった。

でもその時。