ふうかの家

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ふっと額が軽くなった。狼歩さんの指が離れたのね。 これは狼歩さんが見せてくれた夢なの? とっても素敵な私の夢だわ。 「ありがとう、狼歩さん」 私は幸せな気分になって、狼歩さんに心からお礼を言った。 「いいえ」 狼歩さんは近づくと、私を軽く抱きしめてくれた。 これは恋人同士の抱擁じゃなくて、友だち同士のハグみたい。 そうか。私が狼歩さんについて行かないと決めたから、もう私たちは恋人同士ではなくなったのね。 「僕もふうかさんとのデート、楽しかったです。ふうかさんの夢、叶うといいですね」 私は、娘が下りてくるんじゃないかとちょっと心配になったけれど、これで最後と狼歩さんに身を任せていた。 「では、最後に僕からのプレゼント」
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