ふうかの家

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狼歩さんは私から身体を離すと、胸ポケットから緑色の小さなガラス瓶を取り出した。 なあに? すごくきれいな深い緑色の瓶だわ。 「これはね。ふうかさんを守る薬です」 「私を守る薬ですって?」 「ええ。ふうかさんが困った時に役立ってくれると思います」 それって。劇薬かしら。 「大丈夫。心配だったらしかるべきところで分析してもらってください。何も出ませんから。 実はごめんなさい。今回、ふうかさんに使いました」 「なんですって?」 「ほんの少し。ただ眠るだけの薬です。寝起きは悪くないでしょ?」 悪くないですって? 私は三日間も眠り続けていたのよね? 起き抜けにも、足がふらついたし。安定剤としたら少し強いんじゃないかしら。
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