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「足を崩すよ」
金髪の男は長い脚を持て余すように投げ出すと、机の下に伸ばした。
三人ともタイトなスーツ姿なので、正座は少し窮屈そうに見える。
「本当に正座して待ってなくちゃいけなかったの?」
金髪碧眼の若い男は、黒髪の少し肌の焼けた男に尋ねる。
「さあ? 私は狼歩に言われたままにしていたのだが」
「ねえ狼歩、そうなの?」
「まあまあ、それは形からってことで」
狼歩は目の前の抹茶茶わんを手にすると、90度左へと回した。
「カレフールもレグバも、僕の真似をして」
「それはティーセレモニーっていうものだね。なんか難しそう」
カレフールと呼ばれた金髪の少年は興味津々のようだが、レグバと呼ばれた男は黙って茶碗を手にした。
「にがっ!」
カレフールは茶碗を回して一口含んだとたん、声を上げた。
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