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「あ~あ」
カレフールは、自分のスーツの中の白いシャツを見下ろした。
そこには緑色の斑点が散っている。だが、迷うことなく手をかざすと、見る間にその染みは消えてしまった。
もうっ!とカレフールが狼歩に文句を言っていると、引き戸の外から声がかけられた。
「すんまへん」
「はい?」
先ほどの、紫の着物の女性が入って来た。
「すんまへん。こんおぶ、分量を間違えたようどす。もうしわけあらしまへん。すぐにお取り替えします」
「え?どういうこと?」
「お抹茶ん量が、倍入ってやはったんどす。かんにんえ」
女性は特に悪かったというような顔でもなく、机の上に乗せられた茶碗を引き下げた。
「ひどい目に遭ったよお」
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