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カレフールは目の前の干菓子をぽりぽりと噛んだ。
「うげっ。これはこれで甘すぎる。これも間違っているんじゃないの?」
「いや、これは正しいと思う。私はこれと同じような、確か羊羹というものを食したことがある」
レグバは、ピアノの教授に通っていた家で出された羊羹の甘さを思い出し、顏を歪めた。
「あれも破壊力のある甘さだった」
「ねえねえ、レグバ。コーヒーに、地獄のように甘いという表現があったっけ?」
カレフールの言葉に、レグバはそれは違うと答えた。
「トルコの諺に、コーヒーは地獄のように黒く、死のように濃く、恋のように甘くなければならない、というのがある」
「いや、違うんじゃないかな」
「出たっ!狼歩のうんちく上書き」
カレフールが茶化すが、いや、そんなんじゃないから。と狼歩は続けた。
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